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野口 宏; 福谷 哲*; 横山 須美; 木内 伸幸
KURRI-KR-61, p.18 - 25, 2000/00
1994年のカナダにおけるHT野外連続放出実験において小容器内に入れた水への空気中HTOの沈着挙動を調べた。空気及び水中HTO濃度と蒸発速度の観測値から、空気-水間のHTO交換速度を求めた。また、交換速度は日変動があること、その平均値は室内で測定された交換速度の約3倍であることなどを明らかにした。交換速度の変動に影響する気象因子を解析したところ、風速が大きく影響することがわかったが、温度については明確ではなかった。このため室内実験を行い、これらの因子の影響を調べた結果、温度も影響することを確認した。これらの結果から、空気中HTOの環境モニタリングに対する水サンプラの適用性についての基礎資料が得られた。
山澤 弘実
KURRI-KR-61, p.100 - 105, 2000/00
大気-地表面間でのHTO移行の数値実験のためのモデル及び大気モデルの地表面モジュールの二つの目的で、地表面の数値モデルを開発した。1次元多層モデルで、土壌水分、温度、HTO濃度等を地上気象データを入力として予報的に求める。このモデルを用いて、土壌中のHTO移行の素過程である気相拡散、液相拡散、移流、分散の相対的重要性と降水等の外的条件、土壌種類及び時間スケールとの関連を調べた。その結果、各素過程の相対的重要性は、着目する時間スケールによって大きく異なることが示された。例えば、気相及び液相拡散は数ヶ月以下の短い時間スケールに比べ1年以上の長い時間スケールで重要な過程であることが示された。
安藤 麻里子; 天野 光
KURRI-KR-61, p.106 - 111, 2000/00
トリチウムの環境中での挙動を調べるために、安定同位体である重水を使用して行われた放出実験の結果を報告する。実験では稲やそのほかの野菜を設置したビニールハウス内に重水の水蒸気を放出し、大気水分中濃度、植物自由水中の重水素、有機結合体重水素(OBD)の増加を調べた。実験は昼夜の差を比較するため、昼と夜の2回、8時間ずつ放出が行われた。また、稲については、放出終了後も外に出して収穫時まで育て、濃度低下と穂の部位への残留も調べた。結果として、昼の葉の部位のOBD生成が夜間の2-3倍であること、稲について、昼の実験で生成されたOBDの方が、夜間に生成されたOBDに比較して収穫時まで残留する割合が高いことなどが示された。